確定拠出年金(401k)は20代30代の若者にこそお薦めである理由
先日、以下の記事を目に通しました。
筆者の意見を抜粋させていただくと、
確定拠出年金は60歳まで引き出せないから若い人はやらないほうがいい
融通が利かなくなってしまう
それよりも、お金を別のことに使ったほうがいい
若いうちから、機動的に使える資産を減らしてしまうのは、非常に大きなリスクを伴います。
確定拠出年金の制度は、確かにお得かもしれません。でも、旅行に行ったり美味しいものを食べたり、
あるいは勉強したり。生きている間ずーっと使える経験を得る機会を失う可能性があります。
つまり、確定拠出年金は
節税効果もあってお得だけど、60歳まで現金化できないため他の可能性を潰してしまう。
経験豊かな人生を歩むために必要なお金を使うことができなくなるので、若い人はやるべきではない!と主張されています。
しかし、この意見は「60歳まで引き落とすことが出来ない」という
確定拠出年金のデメリットだけにフォーカスされた極端な話だと思います。
お金は目的に応じて、貯める方法を選択することで
「無理して貯める」ではなく、使う分は使う・貯めるものは貯めるという
メリハリのある貯金ができます。
そして、若い人こそ確定拠出年金をお薦めする理由があります。
お金の役割を決めて貯める
普段の収入を、なんとなく「普段の生活費」と「貯金」と分けていませんか?
貯金が上手な人は、お金の役割を決めて貯金しています。
役割とは大きく分けて3つです。
- 増やす→老後生活資金のために、今から増やす
- 使う →習い事や趣味、旅行
- 守る →病気や万が一のときのためのお金
趣味や旅行など、「使う」ためのお金も貯めつつ
老後資金や、病気になったときのためのいざという時のお金を貯めることで
リスクに備えることができます。
そのお金はいつ必要なのか考える
では、そのお金は実際に「いつ」使うのか考えてみると
短期的に必要、中期・長期的に必要だと分類できます。
短期的に必要なお金は、流動性のある普通貯金に入れておく。
中期的に必要なお金は、定期預金や証券口座に入れる。
しばらく手を付けない長期的なお金は、収益性を重視して外貨預金や投資信託、確定拠出年金で運用する。
このように使う目的に応じて運用方法を選択することで
効率よく貯めることができます。
銀行のメリットとして「換金性がいい」ので、普段よく使うお金は普通預金に入れる。
ただ、銀行に入れているだけではお金は増えません。
そこで、確定拠出年金。
60歳まで引き落とせないというデメリットがあり、換金性は悪いですが
使う目的は老後資金です。
収益性が上がるというメリットを最大限に生かすことができます。
資産の分散が基本のき!
保有している資産は分散させるのが、大原則です。
ポートフォリオで考えてみるとこのようになります。
これは一例ですが、
銀行・証券口座・確定拠出年金をバランスよく保有することで
リスク回避にもなるのです。
人によっては、証券口座の代わりに保険に入るなども選択の一つだと思います。
ここで言いたいことは、
- 普通預金だけに貯金している
- 雀の涙ほどの金利しかない定期預金だけに預けている
など、偏った運用をしていると損をするということです。
では、長期的なお金とは、いくらぐらい必要なのか?
短期的なお金や中期的なお金は目標が立てやすいですよね。
生活費・食費は月10万円だ、来年旅行いきたいから月2万円積み立てる、
ローンの頭金500万円のために、毎月いくら貯める、など。
それでは、長期的なお金・老後の資金とは
一体いつまでにどれぐらい必要なのか考えたことはありますか?
一般的な例で考えて見ましょう。
ゆとりのある老後を暮らすためには2000万円必要
老後に必要な資金を一般的な例で考えて見ます。
夫婦2人の場合
- 夫:会社員 厚生年金加入期間40年
- 妻:専業主婦 国民年金加入期間40年
65歳から年金を受け取り始めて、80歳まで15年間生きたとします。
最低日常生活費は平均月22万円必要だといわれています。
さらに、ゆとりのある老後生活を送るために必要な資金は月35万円必要との事です。
(出典:公益財団法人 生命保険文化センター(平成25年 生活保障に関する調査))
最低日常生活費では、旅行もいけず、老後貧乏と言われるラインだそうです。
なので、ここではゆとりある老後生活費の35万円を基準に考えて見ます。
2016年1月現在の年金の制度であれば
65歳から月23万円の年金を受給できます。
ゆとりある老後生活をするために必要な資金は35万円なので
毎月12万円不足します。
65歳から80歳までの15年間、この12万円を貯金から切りくずすことになるので
12万円×12ヶ月×15年=2,160万円
夫婦で2,160万円を貯めていれば、
ゆとりのある老後を過ごせるという1つの目安になります。
いきなり2,000万円貯めろ!といわれても、難しいですよね。
退職金がしっかりでる人や、遺産相続が必ず受け取れるなどの人を除いて
個人で貯めていかなければなりません。
この2,000万円を貯めるためにも
若いころから収益性の高い確定拠出年金や投資信託を始めることで
無理なく必要な分だけ貯めることができます。
60歳になるまでに2,000万円ためるために、毎月いくら貯める必要がある?
60歳までに2,000万円貯めるために
金利3.0%で運用した場合
貯金を始める年齢でどれだけ差が出るのか比較してみましょう。
30歳から運用を始めれば、毎月3.44万円で達成できます。
40歳を超えると12万円以上。
毎月12万円を工面するのは難しいですよね。
若いころは資金があまりありませんが、時間が圧倒的に有利に働きます。
つまり、老後貧乏にならないよう・ゆとりのある老後を暮らすためにも
小額で始められ、収益性の高い確定拠出年金は
若い頃にこそはじめたほうがいいのです。
ちなみに、毎月3.44万円を30歳から普通預金に入れていただけだと1,224万円。
800万円もの差が出てしまいます。
普通預金に預けっぱなしは絶対に止めましょう。
結論:確定拠出年金は若い頃から始めるべき
確定拠出年金は老後資金を貯めるということでは素晴らしい選択肢だと思います。
節税効果にもなる、収益性もいい。
60歳まで現金化することはできませんが
- 短期的に必要なお金
- 中期的に必要なお金
- 長期的に必要なお金
こちらをしっかり分けて貯金することで、
確定拠出年金のデメリットは十分にカバーすることができます。
さらに、若い頃から始めることで
投資の長期保有のメリットを最大限に生かすことができます。
長期保有の3つのメリット
- 長期保有は複利の力を取り込むことができます。
- 長期に保有すると運用のリスク(値動きの幅)が縮まります。
- 長期保有はコストの負担を軽くできます。
60歳まで現金化できないからといって
資産運用の選択肢から外すのはあまりにも勿体無いと思います。
若いときから小額でコツコツはじめて
長期保有のメリットを最大限に生かせる。
確定拠出年金であれば節税効果もある。
以上、確定拠出年金は若者にこそお薦めする理由でした。